秋冬2018総合カタログ
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- 川西■昭和42年に会社を設立する時、 すでに研究農場を作ることは決まっていました。 農場では育種をメインにやろうということで、当時の金田場長が味と品質の良 いメロンの原種があると聞いて、それをもとに育種したのが「クールボジャメ ロン」です。昭和48年頃のことです。 大場■当時はプリンスメロンが人気でしたが、 「クールボジャメロン」はプリンスよ りも晩生(おくて)で収穫時期が分かりにくい、しかも病気に弱かったので、 渥美では作付けが増えなかったです。 司会■それが、宮城県名取市の特産メロンになった経緯は? 川西■当時、名取市からトヨタネに研修に来ていた方が「クールボジャメロン」のタ ネを名取に持ち帰って育てたところ、仙台市場で評判となり、広く栽培される ようになりました。名取市や岩沼市のクールボジャメロンは東日本大震災の津 波でハウスが流され、壊滅的な被害を受けたのですが、 「クールボジャメロン」 の栽培はその後復活し、今でも名取市や岩沼市の特産物になっています。編み 目のない楕円形で糖度が高く香りが良いのが特徴で、被災によりいったん生産 が途絶えたものの、生産者のメロンに対する強い思いから栽培が再開されまし た。全国でもほとんど生産されておらず、幻のメロンと言われています。 司会■クールボジャという名前が独特ですね。命名の由来は? 川西■昭和40年代は、カウンターバーでウイスキーやブランデーを飲むのが流行して いました。研究農場の金田場長はお酒の好きな人で、 VSOPのブランデーに 「ク ルボアジェ」という銘柄があり、 それを少しもじって名付けたと聞いています。 憧れのブランデーと似た甘い芳香がしたからでしょうね。 司会■そうなのですか。ブランデーの名前とは知りませんでした。 大場■とても上品で、味が濃くて甘くておいしいメロンです。メルティング質が特徴 でしたね。お酒が好きな金田場長らしいエピソードです。 川西■「クールボジャメロン」は地元でも一時期作ったのですが、 「晩生で熟期が分 かりにくい」と、あまり栽培されませんでした。せっかくトヨタネで作ったメ ロンなのに地元で普及しなかったので、当時の金田場長は「自分のところの品 種なのに営業は売る気がない」と怒っていたのを覚えています。 03
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