まさに令和の米騒動、政府は備蓄米の放出を続けるが、4月のスーパーコメ平均価格5キロは4,214円、14週連続の値上がりです。すでに価格は昨年の倍以上、大規模火災をバケツで消火を図っているような感覚です。しかも1年後買戻し条項あり。ここにきて主要県では増産の動きあるが、時すでに遅し、お米の作付は田植えから始まるわけではない。種もみの播種はほぼ終わっているので、今からの増産の余地は極めて限られる。今もって政府は流通在庫があると言っているが、本当にないのが実態だろう。実は2~3年前からお米の供給不足(実需より少ない生産量)はささやかれていたが、昨年夏に一挙に顕在化した。減反時代、そして現在に至るまでお米の需給は見事にバランスをとって誘導したと自負している政府官僚の成功体験が大きいのだろう。今回の根本的な原因は供給不足、もっと言えば農林省が把握している生産額の見込みと実際の乖離が広がった結果、一気に供給不足が生じ、価格が跳ね上がったことは間違いない。農家も被害者だ。もう少し値上げしてほしいとは思っていたが、一挙に倍以上に跳ね上がればコメ離れがますます加速する可能性もあるし、トランプさんの餌食となって米国産の輸入拡大を迫られるだろうし、韓国やタイ、ベトナムからも緊急輸入の話も聞く。
しかし本当の問題はこれからだ。令和7年はよほど記録的な大豊作にならない限り「令和の米騒動」は続くだろうと予測します。問題はその後です。もし農林省が2023年以前の価格に戻そうとするならば、一部の合理化を徹底した大経営稲作経営体を除き、お米は作らなくなるだろう。供給不足は輸入米で代替するしかない。食糧安全保障上も大問題だ。超大規模経営体のお米を食べるか、いやいや一部の高所得階層はいくら高くとも国産有機米を望むかもしれない。米価の落ち着く先は本当にむずかしい。さらに言えば、日本の思想・哲学・文化の問題に行き着く。日本人はその時「国産米をどの程度支持するだろうか?」 日本の農村にお米が植えられた田んぼがあり、それを食することにどれだけの価値を認めるだろうか?それにはもちろん価格との相対関係も大きい。輸入米にはチャンスだ。しかし日本人がどの程度受け入れるのか、そして食糧安全保障を重視する国がどのような手に出るのか、今後2~3年は見ものです。我々農業関係業者にとっても大転換の時が訪れそうだと予感しています。
コメント
この記事に対するコメントはまだありません。