今年も残すところ1か月。一地方の農業関係業者としては、全体が見えているわけではないが、将来の方向性はますます不安定となっている。予測を立てることが難しい。コロナ禍の3年間、農業者は苦難の日々でした。需要は下がる、生産コストは数十%単位で上がる(生産資材・燃料費の高騰、コロナによるひずみ、および戦争の影響が大きい)、しかも市場での取引価格はあまり変わらない。いよいよ離農と考えたプロ農家も数多くいたでしょう。
ところが2024年、予測外のことが次々起きた。典型的なのは、米価格の高騰でしょうが、園芸関係でも夏の猛暑による生育不良が主な要因と思われる生産量不足による野菜価格の高騰が続いている。一部の立派な農家はしっかり出荷物を確保し、例年より利益を上げていると思いますが、大半は生産量の減少で、必ずしも利益につながっていない。プロ農家の大半は、利益だけが重要な指標ではない。自分が納得できる生産物ができ、消費者および流通に関わる関係者に喜んでいただくことも、農業者の大きなやりがいだ。しかも今の高値は、一過性で長期的に見れば需要の減少、農業の凋落につながるのではないかと危惧する農家も多い。
また、夏から秋にかけてはカメムシやヨトウムシ等の農業害虫が異常発生し、殺虫剤の使用は大幅に増えていると聞く。国が推進する「みどりの食料システム戦略」とは逆の方向に進んでいる。また、多くの農家は有機農業に対しても、土地生産性や労働生産性の観点から懐疑的な見方が多い。実際雑草の多い水田や畑を見る度に、これを除草剤以外で解決する方法があるのだろうかと思う。除草剤が農民の悩みを解決したのは、紛れもない事実だ。
農業に関係する業者も、一時的に売り上げを伸ばしているかもしれないが、私の見解ではコロナ禍を過ぎ、それでも農業で頑張ると腰を据えた農家が、ためらっていた設備の更新や投資をやむなく実行に移しただけと思っている。長期的な観点からどのようにあるべきか、現場の農業者も、また農業にかかわる業者も岐路に立っている。ただ言えるのは、こういう時だからこそ、よりお客様に役立つ組織を目指すしかないということです。