今年も夏がやってきた。とは言うものも1年前に想像していた夏とは全く違う。「東京オリンピック2020」で日本中お祭り騒ぎの予定でしたが、もはや忘却の彼方、過去の記憶のようです。来年開催についても大半の日本人があきらめムード。新型コロナウイルス第2波がこの夏に再来するかどうかが最大の関心事、国はほぼ鎖国状態で関東地方中心にまだ移動もままならない実状です。おまけにかつてないほどの梅雨前線の停滞で来る日も来る日も雨、九州地方を始めとして多くの死者を出すほどの歴史的大災害になりつつあります。穀倉地帯は最も重要な生育期ですから、直接的な被害と日照り不足で作況もかなり下振れする可能性が出てきたと思います。新型コロナウイルス禍と梅雨豪雨のダブルパンチです。
それでも会社にとってはこの7月~8月は最繁忙期となります。露地野菜の種蒔き・育苗時期です。トマトに代表される施設野菜もこの時期が定植時期ですが、多くの生産者は苗を購入します。弊社も自社苗生産に力を入れているのですが、この曇天続き高温多湿条件下でお客さまに納得していただける苗を供給するのは大変です。枯れそうだからと水をやれば、徒長苗となりますし、予期に反して急激に晴れるのも大変危険です。植物が変化に対応できず、一気にしおれてしまうこともあるからです。またこの高温時期にコロナ予防でマスクをしながらハウス内で仕事をする職員も大変な思いをしています。暑くなればコロナよりも熱中症のほうが遥かに危険だろうと思います。
何れにせよ太平洋側の園芸農家にとって、7~8月は冬の収穫に向けての最重要なスタート時期となります。弊社もその分野でお役に立つことが根幹の会社ですので、とにかくこの時期は槍が降ろうとも前に進むしかありません。正月を中心とする冬場に野菜や果物がスーパーから消えたなどという事は許されません。国民そして消費者は新型コロナ禍以上のパニックです。今回の新型コロナウイルス禍ではっきりしたことは、食料は生命の根幹、新鮮でフレッシュな野菜や果物を食べられることがいかに幸せかということを実感したことでしょう。まもなく終わるだろう長い梅雨がすぎると夏の太陽と連日30度以上の極暑が待っています。それは弊社が頑張る時でもあります。
川西裕康