ブログ「社長のつぶやき」

2017.09.04 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

冬トマトと冬胡瓜

 先日、大変研究熱心な越冬胡瓜栽培生産者とお会いし、いろいろお話を伺いました。
正直、胡瓜とトマトではおかれている環境、そして戦略が随分違うことに改めて気づかされました。近年高収量を目指す施設園芸環境制御技術の大半はトマトをターゲットにしています。正直弊社においても同様です。トマトのノウハウで他社に負けるな・・という感じです。実際地元愛知でも、また日本一の大産地熊本でも設備投資が盛んですし、大規模ハウスによる企業の参入もよく耳にします。トマト生産者の間では、このままでは供給過多で価格が暴落するのではないかと危惧する向きもあります。しかしそうならないのは、トマトは需要が伸びている上に、中小農家の撤退も多くあり、新たな参入者とのバランスが微妙にとれているからだろうと推察します。

キュウリ角丸
写真:弊社研究農場キュウリ栽培試験

トマト角丸
写真:弊社研究農場トマト栽培試験

 改めて胡瓜とトマトを統計上で調べてみると、近似点が多々あることに気づきました。トマトと胡瓜は日本における施設園芸野菜の両横綱です。作付面積も近いですし、期待する10a当たり収量も近く、平均単価も近く、最低温度の考え方も近い。ナス科とウリ科でありながら、数字上は近似点が多いことに気づきました。しかし胡瓜の消費はじり貧で、冬胡瓜の健康野菜としての評価はトマトと比べると、残念ながら低い。おそらく現在の傾向が続けば10年後にはトマトと胡瓜の栽培面積は2倍以上の差がつくでしょう。一言で言えば胡瓜にはスポットが当たっていない。しかも胡瓜栽培は非常にデリケートで、収穫期の労力はトマト以上(1日2回収穫)、撤退する農家も多い上に、新規参入、強いては企業の参入もあまり聞かない。だからこそ、専業として、プロとして胡瓜栽培で未来を切り開こうとする生産者には、トマトとは違う戦略が必要になる。ある意味専業として生き残るには、トマト農家よりも、胡瓜農家の方が面白い時代が来るのではないかと感じました。同時に弊社としても胡瓜栽培技術でお役にたちたいと強く思いました。
 
川西裕康