ブログ「社長のつぶやき」

2022.08.03 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

急激なインフレと農産物価格の心配

夏本番! 今年は梅雨が短く、その後いきなり猛暑が続いたので水不足を心配しましたが、7月は適度に雨も降り、今のところ水不足の心配はなさそうです。

それよりも不安だったのが、今年の夏、農家は例年通り作付するだろうかということでした。仕入資材の価格高騰の上に、夏野菜の価格低迷、明るい話題が少ないので、精神的に夏バテしないかと心配でした。しかし今のところそんな心配は杞憂のようです。プロ農家からすれば、目の前にある生産資源(畑や施設)を放って置く訳にはいかない。明日を信じて、猛暑の中、秋冬作の準備に余念がない。

ニュースを見ると秋に向けて食料品価格の値上げはまだまだ続くようです。その分生鮮食料品の価格が抑えられるようなことがあってはならない。

一般の消費者から見ればなぜと思うかも知れませんが、少なくとも物価上昇並、或いはそれ以上に生鮮食料品も値上がりしてくれないと、生産者がパンクしそうです。

世界中で猛烈なインフレが進行しています。理由は様々、新型コロナウイルス・ロシアのウクライナ侵略・地球温暖化問題への対処等、米国やヨーロッパでは消費者物価への転嫁が速やかに進んでいるように見えますが、日本はそうでもありません。理由は色々あるのでしょうが、私の偏った見方からすれば、風上の大企業は値上げする力があるが、流通や風下企業は消費者の買い控えを心配してなかなか値上げできないからだと思います。給与が上がっていないと言われれば、経営者の端くれである自分にとって頭の痛い話ですが、お客さんが困っているのに簡単に値を上げられないというのもまた真実です。それでも販売をメインとする我社の経営が思うようにいかないのはどこまで言っても経営者の責任であり、創意工夫が足りないと言われれば返す言葉がない。

しかし農産物価格はもっと苦境です。国際的な穀物相場は猛烈に値上がりしていますが、皮肉なことに国内産米の価格は下落しています。まして今後生鮮農産物の価格がどう推移するのか、当の生産の担い手である農家にもさっぱりわかりません。生産に必要な資材価格が軒並み二桁以上値上がりし、生産原価はかなり上昇しているのは事実ですが、消費者は日本の農業に対してもっと生産性を高めて価格を下げろと言っているのかも知れません。

私が言いたいのは、ニュース等で食料品価格が暴騰しているという報道が多いですが、当の生産現場はかなり苦境ですよという実態を多くの人に理解してもらいたいということです。

近々目の前にある日本の農業問題は、「食料自給率の低下」や「高齢化」、「遊休農地」や「フードロス」の問題ではなく、プロ農家の採算性が著しく低下している、その事自体だと思います。

いつも暗くなりがちですが、今年の秋冬もまた新鮮・安全で美味しい国産農産物が食べられるようそれぞれの立場で頑張りたいですね。今年の冬は大勢でワイワイガヤガヤと鍋料理を味わい、美味しいお酒が飲めることを願っています。