ブログ「社長のつぶやき」

2012.11.26 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

「農業」と「農家」守るのはどちらか?

 11月14~16日とアグロ・イノベーション2012に出展させていただきました。7月のGPECとは違い、農家さんよりも試験場関係者・大学関係者、企業関係者の方が圧倒的に多い展示会でした。小生は、かつて豊橋の農業委員をさせていただいたことがあるのですが、ある討論会で専業農家の方から、「いくら農地法で農地が守られても、肝心の農家の生活が成り立たなくなってきたら、何のための農地法なのか!」と痛切なご意見を頂いたことを鮮明に思い出します。
 食料自給率の低下と農家の高齢化で日本農業は弱体化する一方なので、企業の農業参入が推奨され、「植物工場」が当面の話題となっています。また、オランダでは国家的なプロジェクトで、125haのトマト温室を建設する計画があると聞きました。韓国においても、農産物輸出競争力強化の方針のもと、10ha規模の温室群を核とする農業団地構想があると聞きました。日本の現状を鑑みると、100倍あるいは1000倍位の規模の開きがあります。また、展示会ではLED照明の効果的な活用と、クラウドコンピューティングを活用した生産から流通までの情報統合技術の開発が、目玉のようでした。
 様々な情報に接すると、自分が立つ土台はどうなのかとの思いに駆られます。その度に、前述の農家の声を思い出します。日本の農業の10年後、20年後はどのような道を目指すのか、本当に難しい問題です。小生としては、100ha規模の温室を経営する農業経営者数十人で国内の需要がまかなえるような世界は、望ましくないように思えて仕方ありません。世界的に見れば中小規模であるとしても、やる気のある生産者がお互いに切磋琢磨して高品質で多様な農業が共存する社会の方が、安定性があると思います。そして、10年後の日本農業を支えるのもやはり、しっかりした理念を持った前向きな農家だと思っています。