2013.06.28 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
さて最近、TPP加盟で日本農業の将来が心配という声が多くなりました。一般的な方の日本農業認識は①自給率(カロリーベース)が先進国の中で一番低い、②高齢化で10年後には担い手がいなくなる、③保護行政とJAが競争力を削いでいる、の3点が多いように感じます。本当にそうでしょうか?
農業は、大きく耕種部門と畜産部門に分類されます。耕種部門は穀類と園芸に分類され、穀類も稲作と稲作以外(小麦・大豆等)に区分けされる。日本の稲作は、生産過剰です。
園芸(野菜・花卉・果樹)は、カロリーベースではいくら頑張っても自給率の向上には役立たない。畜産は輸入飼料に頼っているので、頑張れば頑張るほど、却って自給率は低くなる。従って、自給率を高めるにはコメ以外の穀物、小麦・大豆の自給率を高める以外にないのですが、この事実に意外と気付いていない人が多いと感じる時があります。また、企業の農業参入はもっぱら園芸部門への参入ですが、実は園芸分野は今も産地間競争が熾烈で、産地の農家に言わせれば、企業の参入はあまりありがたくない存在です。また、野菜や花卉はTPPとは関係なくすでに無関税、自由競争に近い状態であるということも意外と認知されていない。
また、規模拡大を望む生産者から見れば、高齢化で競争相手が減ることは結構な話なのですが、残念ながら土地の流動化、集約が思うようにならない。施設園芸において土地及び労働生産性を高める余地は多いが、そのことがストレートに「植物工場」と言う概念に繋がるわけではない。企業が本当に自給率向上に役立とうとするならば、麦や大豆に参入すべきであるが、この分野は全く競争力がない。出口のない話のようですが、こと農業においてはメディアによるバイアス(屈折)が大きく、現場実態との乖離を感じる事が多い。真剣に農業に取り組む担い手の存在に、もっとフォーカスしていただきたいと思います。前の記事を見る
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