2021年後半は値上げラッシュの年として歴史に記憶されるかも知れない。
超マクロ視点ではウイズコロナ時代を迎え世界の需要が旺盛となる一方、CO2排出産業の供給抑制による品不足が大きな要因ではないだろうか。
需要旺盛による秩序あるインフレは歓迎だが、供給抑制によるインフレはスタグフレーションを招きかねない。日本はその最右翼だ。
更にスタグフレーションは零細業種を直撃する。まさに日本農業はそれに当てはまる。
このピンチを自分なりになんとか解説したい、この思いを何とか伝えたい。
食品と生鮮食料品の違いをよく見てほしい。
大手資本の「食品」は値上げラッシュです。
小麦関連製品・油脂製品・冷凍食品・加工食品は軒並み値上げを発表している。
大手食品企業には自ら値段を決め、価格を上げる力があるからです。
一方多くの消費者の暮らし(年収)は良くなっていない。食料品に向けられる家計支出は増やしたくない。
仮に月の食料向け支出を10としよう。「食品」と「生鮮食料品」の支出割合が5:5だと仮定します。
今回「食品」の大幅な値上げによって支出割合が6になったとします。
すると多くの家庭では「生鮮食料品」の支出を4にせざるをえなくなる。可処分所得が上がっていないからです。
生鮮食料品の殆どは農家が生産し、アダム・スミスの資本論が通用する「市場」で取引される。
買手は4しか購買力のない消費者相手なのだから、高値はつけられない。
今年の冬の生鮮食料品相場は相当な異常気象による供給不足が発生しない限り、高くはならない。むしろ安くせざるをえないだろう。
一方農家にとっては、生産のための原材料仕入れは大幅なインフレ、特に重油や肥料・飼料価格の大幅な値上がりは大打撃。
本来生鮮品も自ら値決めができるなら最低でも10%以上は値上げしたいところだろう。
仕入生産資材の大幅な上昇、そして販売価格の下落という2重苦に耐えるのにも限界がある。だから6次産業だ、直売やネット通販を考えるべきだというのは暴論だ。
ほとんどの農民は市場を通して顔の見えないお客様のために精魂込めて高品質商品を生産しようとしている。
日本農業にとってかつてないほどのピンチです。
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