はや今年も11月。
彼岸花が秋の到来を教えてくれた。
程なく自宅近くの金木犀の花が咲き始め、秋本番を告げた。
でもおかしいぞ、10月下旬また金木犀の花が咲いた。
でも1回目の開花ほど香りはない。
あれ、1ヶ月前の香りは幻だったのか?
よくよく調べてみると金木犀は2度咲きする年もあるらしい。
これも異常気象なのか、秋冬野菜相場がどうなるのだろうか、職業柄直感的に不安がよぎった。
案の定新聞紙上には11月の野菜市況は前年より更に安くなる見通しとのこと。
長引くコロナ禍の中で、多くの国民は食糧問題により敏感になっている。
自給率の低下と担い手の高齢化で日本農業は崩壊するのではないかと心配している人も多いでしょう。
更に国際的な穀物市況の高騰で、スーパーに並ぶ食料品は値上げラッシュです。
ただその割には今回の総選挙において農業問題は大きな争点にならなかった印象があります。
長期的視点では食糧問題は人類最大の課題であることは間違いない。
ただ短期的な視点では、次の理由で日本農業は最大のピンチを迎えている。
① 生産過剰と市場価格の暴落懸念
2020年産食料米は過剰在庫を抱え、更に2021年産もやや豊作、来年の昨付け調整に国は頭を抱えている。
現状のお米価格でも専業農家の採算性は厳しい。
ここから更に10%、20%下がれば壊滅的な事態となりかねない。
園芸農家においても、今年の冬は豊作貧乏の危険性が高い。
現場が恐れているのは「生産不足」ではなく、「生産過剰」による暴落懸念という事を是非多くの人に理解してもらいたい。
② 卸売価格の暴騰と小売価格の下落
農家が生産のために必要な資材は卸売価格の分類です。
石油・肥料・石油由来資材・飼料価格等の大幅値上げは農家の努力による生産性の上昇を遥かに上回る勢いです。
生産者(農家)にとっては仕入れコストの大幅な上昇です。
しかし多くの農産物は市場で取引され、小売市場で流通する。
その消費者価格は上がるどころか、むしろ下がっている。
今年の冬は更にその傾向が強まりそうな情勢下にあります。
③ 後継者の躊躇
農業の後継者問題はかなり前から深刻であることは変わりないが、それでも「農業」に誇りと生きがいを持って飛び込もうとしている若者はかなりいる。
しかしそうした人にとってもこの数年の苦境を目の当たりにして、躊躇する動きが顕在化してきた。
結果として担い手の高齢化に拍車をかけることになっている。
小生は業者の立場なので、②にも関わりがあり、自分の首を絞める様な内容ですが、多くの人が「食料危機」を唱える中、現場の苦悩との認識ギャップを少しでも理解していただこうと書いてみました。
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