ブログ「社長のつぶやき」

2020.01.14 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

野菜の地位について

 明けましておめでとうございます。とは言うものの昨年末に引き続き青果市場は全般的に軟調、しかも記録的な暖冬予想と重なり、生産者の皆様には厳しい幕開けとなりました。
また世界を見ればアメリカを巻き込んだ新たな中東戦争が勃発しかねない危険な情勢で、施設園芸に欠かせない重油価格の高騰も予断を許さない状況です。
良い話題の少ない新年ですが、夏には56年ぶりの東京オリンピックも予定されています。
弊社としてもこれからの情勢は徐々に良くなると信じて地道に努力を続けて参ります。
また一方、地球温暖化対策や海洋廃棄プラスチックごみ問題等に対しては農業分野においてもより具体的な取り組みが求められる時代が到来しつつあると感じています。
 そうした中ではありますが、園芸農業の相対的な価値観は益々上昇しています。
すでに国内農業産出額において「野菜」は「お米」をはるかに抜いています。
また増え続けるインバウンド需要の中でも日本の「食」文化に対する評価は高く、それは新鮮で美味しい野菜や果物において顕著です。
 江戸時代までの日本は獣食禁止、「一汁一菜」が食の基本であり、今で言う「野菜」の概念は乏しく、野菜は「青物」として穀類を食べるための添え物でしかありませんでした。
それが現代では栄養学的にもビタミン、ミネラル、植物繊維の補給、また食卓の彩りとして、またダイエットを含む健康管理上、または思想信条の上でも最重要な食材となりました。
需要と供給のバランスの変化、異常気象等によって市場価格は乱高下するものの、より美味しく、安全で新鮮な野菜も求める国民の声はこれから益々高くなることは間違いありません。
そんな想いを大切にして今年も頑張ってまいります。
次号ではもう少し「野菜の今昔」について深堀しようと思っています。
どうか本年もよろしくお願い申し上げます。
川西 裕康

2019.12.14 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

東海の菜食文化について

 地元のA大学で、地域の「食」を巡るテーマの一つで「東海の菜食文化」という講義を頼まれたことがあります。
私の根源的な疑問はそもそも人間にとって野菜は必須なのかどうかですが、未だに答えはわかりません。
少なくとも江戸時代までの食事は「一汁一菜」が基本。
裕福な武士階級であれば1日5合の玄米を食べていたという。
一汁一菜はご飯をたくさん食べるための添え物に過ぎなかった。
お米(稲)というのは、神からの最高のプレゼントだったのではないか?

 パン(小麦)よりはるかに栄養素が多いようです。
仏教文化の影響で獣食は厭わられていたが、そうは言ってもイノシシを牡丹、馬を桜、鹿を紅葉、鶏を柏と書いたように、結構地域によっては食べられていたか、飢饉時の非常食として利用されたようでもある。
魚は食べられたが貴重品、高級武士でも月に2度ほど干し魚などを食べられた程度だそうです。
それでも江戸以降に京野菜・加賀野菜・江戸野菜等独自の地域野菜文化が芽生えたのも事実です。

 そもそも野菜と言っても現在我々が口にするものの大半は明治以降に普及したものばかりです。
明治期に導入された野菜は、甘藍(キャベツ)・白菜・玉葱、西洋種ほうれん草・南瓜、レタス、メロン、イチゴ、じゃがいも、トマト、近年ではブロッコーリー・カリフラワー、ミニトマト。
現在野菜売り上げトップの「トマト」もほとんど戦後に普及したに過ぎない。
日本原産野菜といえば、サンショウ、セリ、フキ、ミツバ、みょうが、わさび等、また古来に伝来した野菜は大根、カブ、里芋、時代とともに生姜、茄子、ちしゃ、人参、胡瓜と続く。
正に主食に対する食欲増進剤としての意味合いが強かったようです。
愛知の伝統野菜の定義も見ても「今から50年前には栽培されていたもの」となっており、殆どは江戸時代以降の「新しい野菜」です。

 それが今や野菜は人間にとって「主食」に近い地位を獲得しつつある。
21世紀の食を巡る話題はますます野菜が増えることでしょう。
また菜食主義者も増加傾向と推察されます。
我々タネ屋も耐病性、多収性、均質性、外観性、高食味の「種」開発に必死です。

ただ日本人にとって野菜の地位がこんなに高くなったのはたかだか150年位の間だということは認識すべきだろう。
また「タネヤ」を生業とする者にとって、食事の歴史、なかんずく野菜食の歴史を網羅的に理解しておくことは価値あることだと思いました。

 来年が皆様にとってより良い年となることを祈念しています。
川西裕康

2019.11.07 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

クローンペットビジネスが隆盛になるのか

 本年10月は、相次ぐ台風の襲来で長野県を含む東日本では特に甚大な被害となりました。農業被害も深刻ですが、ただでさえ跡継ぎ問題(事業承継)が最大の課題である日本農業においては、台風のたびに莫大な離農者が出るのは避けられない。
自給率アップの観点からはどのような施策が有効なのか、国も頭を悩ませているに違いありません。
災害
 近頃NHKの特集ニュースで中国ではクローンペットビジネスが盛んになっているという報道に触れました。
弊社を含む園芸農業ビジネス界では植物クローン技術は有益、かつ当たり前となっています。古くから挿し木は幅広く利用されていますし、体細胞を材料とするメリクロン技術のおかげで、多くの栄養系繁殖植物の有益な生産拡大が可能となっています。
弊社と同じ豊橋にはメリクロンの大量増殖技術を確立して科学技術長官賞を取られた先進的な会社もあります。
動物のクローンといえば、哺乳類で初めて体細胞から作られたクローン羊・ドリーが有名ですが、20世紀、1997年の話題であり、すでに殆ど忘れていました。
畜産業界におけるクローン技術の応用は社会に役立つと私も思います。倫理面よりも利便性の価値を高く認める考えに賛同です。しかし近頃見たニュースでは、自分の愛犬や猫を複製してもう一度飼いたいと考える人のニーズが増え、現状では数百万、或いは1000万超かかるようですが、大きなビジネスチャンスになっているとのことです。
ヒツジ
これはどうでしょうか? DNAの改変を伴う遺伝子組換やDNAの一部をカットするゲノム編集技術には倫理上の問題や長期視点での生命危険性についてまだまだ議論は続きそうですが、DNAの「コピー」はすでに無罪放免ということなのだろうか? 
少なくとも個人的嗜好のペットビジネスに於いてクローン技術が社会的権利を得ることには反対したいと思っています。
川西裕康

2019.10.15 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

ゲノム編集食品の今後

 今年の9月、消費者庁はゲノム編集技術で品種改良した農林水産物の大半について「生産者や販売者たちに、ゲノム編集食品であると表示することを義務付けない」と発表した。その理由として「外部遺伝子を組み込まない食品は遺伝子の改変がゲノム編集によるものか、従来の育種技術で起きたのか、科学的に判断できず表示義務に違反する商品があっても見抜けないため」と説明している。はっきりわかるのは、国としては「ゲノム編集食品」の国際競争力の強化、そして商品化に非常に前向きであるということです。これは外部から遺伝子を挿入する「遺伝子組換技術」と「ゲノム編集技術」を区分けし、前者は国民的理解が困難と判断しながらも、後者については世論の支持を得たいという意図が明確と理解する。  
 ゲノム編集は「意図された突然変異」の比喩の如く、その「痕跡」を科学的に実証することは困難とされている。哲学・思想の範疇で言うならば、地球上の生命誕生から今日に至るまで受け継がれたDNAの連鎖を「人間」が操作してよいかどうかという倫理論争となる。
 私の個人的な価値判断を披露することは簡単だが、とても手にあまるのでここでは近い将来の野菜育種の予想を記したい。まずはこの「ゲノム編集技術による商品」が本当に受容される社会になるかどうか、今回国が指針を出したこと(勝負に出たこと)によって、ここ2~3年で方向性が決まるのではないかと思う。国全体としてはおそらく動植物の育種分野よりも医学分野における効能(先天性疾患の未然除去やガン等の重要病の予防・治療技術)の啓蒙が先行すると予想される。デザイナーベイビーに至ってはおそらく否定されるだろう。植物育種技術としての利用については、民間では高収量よりも耐病性、機能性強化のための原種開発に多くの労力が割かれるのではないかと思う。ここで言う原種とは、今後もF1ハイブリッド技術による野菜育種が中心であることは変わりなさそうだが、その「親」のことを指す業界用語です。その親についてはゲノム編集技術の結果産物が増えるだろうという予測です。原種として利用されるのでよりその痕跡の追求は困難となる。また食品としては「高機能」(例えば高GABAや高リコピン酸を含む成分の保証されたトマトの販売、結果として高血圧や病気予防、アンチエイジングに効果が期待される)を売り物にする食品がスーパーマーケットのメインステージを占拠する時代の到来可能性が高い。その価値が広く社会に受容されれば、やがては人類における当たり前の技術になる可能性もあるだろう。弊社は「種」については主に販売業であるが、将来のメイン商品の行方については近未来の経済予測よりも遥かに重要であると思っています。
川西裕康

2019.09.06 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

「ひまわりの一生」

 仕事柄、花の名前や育て方、樹木の種類等を聞かれることがよくあります。しかし正直な所、植物音痴でさっぱりわかりません。「園芸の専門家のはずなのにわからないの?」、もう少しつらいのは「お殿様は、現場のことは分からないですよね」と言われることです。
営利目的の野菜園芸種苗のことなら何でもよく知っていると返答しても、先方はその境のことは理解できないでしょう。専門外の植物について詳しくない自分がアホなのです。

 そんな私でも自信も持って育てることができる植物がある。1つは球根類、中でもチューピップとユリは簡単です。秋深くなってから適当に土に埋めてやりさえすれば、必ず翌年の春から初夏にかけ、立派に咲いてくれます。もう一つはひまわりです。ひまわりは子供のころから慣れ親しんでいて、タネも大粒、5月に入って暖かくなってから蒔き、しばらくの間水さえ切らさなければ不思議なくらい育ってくれます。今年は自宅近くの最も往来の多い交差点の角に勝手に蒔かせていただきました。
開花前ひまわり 交差点街路樹ひまわり 交差点のひまわり
朝、犬の散歩をしながら、グングン育つひまわりを観察することは、ひそかな最上の楽しみです。伸び盛り中のひまわりが、台風や大雨でダメになることは滅多にありません。タフな植物です。やがて大輪の花芽をつけ、ある日見事に咲いてくれます。

ひまわりの一生  咲き終わったひまわりは下を向き、立派だった茎葉も黒ずんで腰の曲がった老人の姿になります。そして最後はお葬式です。吸水機能を失った根はやがて簡単に抜けるようになります。それまでは決して抜きません。まだ頑張って生きていると思うからです。そうしてひまわりの一生が終わります。

 人生は長いけれども、ひまわりの一生は1年です。まだ何年もひまわりを育て、その一生を見ることができると思うと、なんだかうれしい気持ちになりますし、まだまだ花が咲く前の人生だと自分を鼓舞することができます。ひまわりを育てながら哲学者気分を味わった今年の夏でした。

川西裕康

2019.08.08 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

8月は文字通りHOTなシーズン!


ヤマセ
 7月中旬時点ではひょっとすると今年は冷夏ではないか、
「やませ」が吹いて東日本が深刻な事態になるのではと真剣に思いましたが、
「無事」というべきか猛暑の夏が訪れました。

HOTな夏 それでも昨年と比べれば少しましかなと思っていますが、
オリンピックのある来年の夏はどうなるのか、今から気が揉みます。
猛暑を実感している時、この天気の中でマラソンや競歩は無茶だよなと思わずにはいられません。

 会社にとっても8月は文字通り「超HOT」な1か月です。 
【8月の3大課題】 
①産地向け専門野菜種子に深刻な不足や品質不良が起きないか 
②益々需要の高まる専門野菜苗を無事生産し、納品することができるか 
③8月~9月から使用したいと言われている請負案件の施設をお客様に迷惑かけず完成できるかの3つです。
最も暑い季節、会社も最も忙しく、身も心も「超HOT」な1か月となります。
 特に近年は②の案件でてんてこ舞いです。8月の壁は毎年大きく、高くなっているような気がします。お客様である農家さんにとっては、8月~9月は種蒔、定植、フィルム張りと冬に向けて良品を収穫するための大事な時、生活が懸かっているのですから真剣なのは当たり前です。 多忙
しかもその時期に毎年のように台風がやってきます。
このことも8月をさらに「HOT」にする要因となります。
 また子育て中の社員にとっては、家族旅行を計画したい時でもあります。その願いも実現でき、とにかく事故なく、一人も体を壊すことなく乗り切ることができる会社を目指したいと思います。 家族旅行

川西裕康

2019.07.06 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

忖度について思うこと、つぶやきです。

 この2~3年政治分野を中心に「忖度」という言葉が盛んに使われるようになりました。
忖度の意味を調べると「他人の心情を推し量ること、また、推し量って相手に配慮すること」とある。元々マイナスイメージとして使われる言葉ではないのですが、ぴったりはまる英訳も無いようで、日本人独特の他者への気遣いだと思われます。
 しかし忖度される側が権力者の場合は、その意味合いが忌まわしいものになる場合もあるよです。そして忖度した側が法を犯す行為に及んだ時は、忖度した側が罰せられる可能性はあるが忖度された側が法的責任を追及されることはほぼ皆無でしょう。もしそうだとすればこれは非常に巧妙なパワーハラスメントではないかと勘繰ってしまいます。ここまで言うと暗に現政権の批判をしていると思われがちですが、ふと自分を振り返った時、我こそはお山の大将、忖度する感性に乏しく、忖度されていることに気が付かない「我」であることに思い至りました。
プレーでの気遣い

 会社は進むべきベクトルを合わせることが大事だと言いながら、本当に理念を社員と共有できているのか、過度に忖度されているだけではないのか、たまに立ち止まって考えることができたならば、私ももう少し大人になれるでしょう・・・。
川西裕康

2019.07.06 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

交差点のひまわりが咲いた

 私が住んでいる家の前には豊橋市交通量の多い、しかも市電が90度大ききカーブする大きな交差点があります。その角には中途半端に矮性緑化木が植わっているのですが、毎年6月になると雑草だらけ、見るに見かねるほど見苦しくなる上に、たばこの吸い殻や飲みかけのペットボトル、時にはカップラーメンが捨てられることもあります。その一角に全く無断、思いつきでひまわりのタネを植えてみました。驚いたことに見事に芽を出しました。あとは雑草との戦いです。日本の畑は雑草との戦いという話は、商売柄も聞いていたのですが、実体験すると本当にびっくり、毎朝、毎夜、愛犬と散歩がてら雑草を抜くのですが、毎朝毎夜新たに生えてきます。2~3日出張するだけで、呆然とするほど雑草が暴れまわっています。雨が降らない日が続いたときは、店からバケツを持って水をぶっかけたりもしました。しかしついにそのひまわりが咲いたのです。うれしくて、うれしくて、こんな素朴なうれしさは60年の人生の中でかつて経験したことがないほどです。思わずつぶやいてしまいました。

交差点街路樹
交差点街路樹

開花前ひまわり
開花前ひまわり

ひまわり咲き始め
ひまわり咲き始め

開花ひまわりアップ
開花ひまわりアップ

開花ひまわり遠景
開花ひまわり遠景
川西裕康



2019.06.17 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

人財獲得と夏商戦を前にして

 皆さんこんにちは。6月は、新入社員が仕事に慣れ始め、次年度の新卒予定者もほぼ確定する月であります。人こそ力、人は城、人づくりは企業が長期に活躍するための最大にして唯一無比の条件です。そしていよいよ当社の帰趨を制する夏商戦の始まりです。2年前までは、施設園芸も露地栽培も比較的順調でしたが、一気に様変わり、単価安に苦しむ農家は今年の作付計画や戦略を再考しなければなりません。量で勝負するのか、品質重視(高単価)か、または人件費を含む費用の削減を第一に考えるのか、立場によって様々です。
 国際的な環境に目を移すと、参院選後には米国トランプ政権が農産物についてTPP以上の開放を要求することは間違いありません。米国の対イラン、対中国政策の行方によっては重油価格が暴騰しかねません。また海洋プラスチック汚染の規制強化が緊縛の問題に急浮上、プラスチックを多用する農業に対する規制も始まることでしょう。消費者による生鮮物のネット購買も一定の地位を獲得しつつある情勢です。また後継者難による事業承継の問題は農業にとどまらず日本の中小事業者の共通の悩み、M&Aの勧めをあおる手紙やメール、広告を見ない日はないくらいです。一方ITやAIを駆使した「スマート農業」という言葉は一人歩きしているような気もします。時代の空気は激変の最中です。
 そうした中、学生会向け説明会で、「弊社の基本は相対第一、アナログ勝負、大事なのは義理と人情、涙と汗!」と昭和言葉を連発すると、意外と反応があるのも事実です。
 農業の基本はお天道様をいかに味方につけるか、この基本は微動だに変わっていないと私は思っています。
川西裕康

2019.04.18 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

平成から令和へ

 2019年5月1日年号が平成から令和に変わります。
令和
弊社は4月決算、しかも前52期(2018.5.1~2019.4.30)は会社創立50周年に当たり、様々なイベントもさせていただきました。新たな50年に向かう最初の日に年号が変わると言うことは、とても意義深いと感じます。これからの50年、もっともっと良い会社にしたいと心から念願しています。
めまぐるしく変化する平成の30年間を大人として、社会人として過ごせたことは(昭和32年生)、本当にありがたく、幸せだと感じています。
 平成30年の最大の変化は言うまでもIT・通信革命の30年、1989年はワープロ習い始め、
ワープロ ポケベル ポケベルすらまだ普及していませんでした。衣食住は人が生きるための3本柱でしたが、その3つよりも重要なのが情報(通信・IT)となりました。経済的には失われた30年と言われ、個人の可処分所得が上がらない中で、情報に使うコストだけは上がり続けたわけですから、結果として「食」の単価が上がるはずがありません。
総需要が増えず、むしろデフレ社会の中で農業及び食料産業は生き延びる方策を模索してきました。そして少子高齢化、2008年には日本の総人口はピークアウトし、2019年は年間で40万人以上の人口減少が予想されています。日本はもはや「量」や「数」の力で世界に立ち向かっていくことはできません。「質」そして健康、更に次世代に残せる日本独自の「美」に目を向けていくことが肝要と思っています。国内の食料総需要は減少を続けるでしょうが、安心安全で質の高い国産農産物を求める国民の目線は不変と信じています。すべての動物にとって、とりわけ人間にとっては「食」はますます重要になることは疑いありません。60歳を過ぎた自分が証明しています。食欲、おいしいものを楽しく食べたいという欲求が何ものよりも勝っていることを自覚できるからです。弊社は引き続き「食」の分野で、しかもその入り口である農業、農家への奉仕を通して食料生産に役立つ会社であり続けたいと念願しています。
川西裕康