2020.11.12 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
今年は昨年よりも寒い冬になるのではないかと予感しています。
職業柄この時期になると気になるのは、露地野菜ではキャベツ・白菜・レタス・ブロッコリーの相場、施設野菜ではトマト・胡瓜・妻もの野菜、そして花卉ではバラと菊の相場です。
異常気象で価格が暴騰すれば全国ニュースでよく話題となりますが、安値の場合はニュースになりません。
我々のように農業者側に立って仕事をする者にとっては、品不足よりも豊作による暴落懸念が最大の関心事です。
稲作農家はさらに大変です。本年度食料米は大量に余る見込みであり、2021年は初めて生産量の目安が700万トンを割りました(政府発表693万トン)。
今年よりもさらに30万トン以上減産し、適切な政策保護がなければ暴落必至です。
一人当たりお米の消費量はおそらく直近では50kg/年を切っているのではないかと思われます。
1962年一人当たり117kgだったそうですから、1/2以下、しかも小麦の消費量は一人当たり30kg代ですが、パンや麺に加工されるため、一人当たりの消費金額は小麦由来がお米を断然上回っています。稲作に絞れば食糧危機どころか有り余って仕方がないと言うのが実情です。
しかし一方で国レベルの議論としては、食料自給率37%は先進国中最低、担い手不足と農家の高齢化、遊休農地の拡大等によって、日本農業は壊滅に向かって進んでいるかのような論調が主流です。
大局的には当たっている点もあるでしょうし、世界人口が増え続ける中で食料ナショナリズムも強くなるだろうと予想されます。国民が等しく自国農業の維持発展を支持していただけるのはありがたいですが、農業現場にいる人達の実感としては過剰生産への危惧、結果として農産物価格の暴落が最大の関心事です。現場はさらなる安値に備え、生産性の向上とコストダウンに必至です。
農業と縁の薄い都市住民の多くは将来の日本農業衰退を心配しながらも、日本の食料品価格は国際的には相当割高であると認識しています。しかし農業現場はいつも過剰生産と価格の暴落を心配しています。
これはまさに「日本農業のパラドックス」ではないでしょうか。今年の冬は新型コロナウイルスの再拡大が心配される中、双方が納得できるような価格で美味しい野菜や果実が安定的に生産供給されることを願っています。
川西裕康
2020.10.13 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
本年1月以来の新型コロナウイルス禍による甚大な影響はまだ収まっていません。
特に法人組織における行動規制が緩まない現状では、業種によって壊滅的被害が継続、かつ終わりの見えないことが大きなダメージとなっています。「Post Corona」は当面ないでしょうから「With Corona」のあり方の合意が急務となっています。
昨年までの私にとってTV会議、テレワークなどは敢えて言えば論外と思っていました。アナログ大好き昭和世代頑固親父を自負と言うと格好つけすぎですが、要は人との接触にデジタルは面倒くさい、あり得ないと思っていました。もちろん会社組織人としてITの推進は絶対必要と考えていますが、個人の領域では私のITはここまでと勝手に決めていた節があります。そんな個人の勝手な価値観に平手打ち(業種に依っては致命的なアッパーカット)を食わしたのがこの新型コロナウイルスです。
2018年に日本でも経産省がDX(デジタルトランスフォーメーション)を定義し、厚労省を始めとして国を挙げて働き方改革を推進する中で発生した新型コロナウイルス禍は、神様の予定表に載っていたのでないかとさえ思います。新世代通信規格5Gは通信の遅延をほぼなくし、AI、特に画像認識AI技術の進展との連携は遠隔操作・自動運転等驚くべき産業革命を予感させます。
ソーシャルディスタンスという言葉には抵抗感がありますが、まさにそれを可能にする技術が新型コロナウイルス禍によって加速されそうです。そういう私もZOOM等での会議にも慣れ、これからも2回に1回は遠隔会議で十分だと思うようになりました。
新幹線にとっては大打撃でしょう。コロナ前に戻る業種もあるでしょうが、全く戻らない業種もありそうですし、戻ったとしても60~70%位の戻り率しか期待できない産業も多く出るでしょう。また「小さすぎる中小企業の数が多すぎることが日本の一人あたりGDP増加の最大の阻害要因」というデービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社社長 元大手証券会社アナリスト)の主張は残念ながら?当たっていると思われます。
後継者不在問題も絡みながら中小企業の再編は容赦なく進む予感がします。
どれもこれも新型コロナウイルス禍によって「未来が予定していたよりも早くやってきた」結果のように感じられます。
川西裕康
2020.09.02 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
2020年8月28日安倍首相が持病の潰瘍性大腸炎の悪化で退陣を表明しました。
8年近くの長期政権で「アベノミクス」と「アベノマスク」は有名語になりましたが、安倍政権が主導した『攻めの農政』はあまりスポットが当たらなかった。
しかし農政と言えば米価対策だった時代から「園芸農業」なかでも「高度施設園芸」に力を注いでくれた点は、大いに評価したい。
その翌日白血病治療のため実戦から離れていた池江璃花子選手が東京都特別大会の50m自由形に出場し、目標としていた標準記録を突破、秋のインカレ出場権を得たとのニュースには日本中が感動しました。病気悪化による痛恨の退陣と重病からの復帰、歴史の偶然なのか私はこのコントラストに色々考えさせられました。
池江さんが長く苦しい入院生活から退院を果たしたとき、自らのSNSでこう語ったそうです。「一部略 オリンピックを目前に控えていた中、突然大好きなプールを離れ、失ったものが多いのではと思った方もいらっしゃると思いますが、私は病気になったからこそ分かること、考えさせられること、学んだことが本当にたくさんありました。ネガティブになる時もありましたが、まずは自分の気持ちをしっかり持たないといけないんだと思い、治療に励みました。」
この言葉を聞いたとき、マイケル・J・フォックスがラッキーマンという本の中で書いた名言「本当に大切なものを、僕は病気のおかげで手に入れた。だから、僕は自分をラッキーマンだと思うのだ。」を思い出しました。マイケル・J・フォックスと言えば映画「バック・ツゥ・ザ・フューチャー」でスターダムの頂点を極めたハリウッドスター。しかし30歳の若さでパーキンソン病に侵され、その治療の苦しみの中で書いた本が「ラッキーマン」でした。
2020年は輝ける東京オリンピックイヤーとなるはずでしたが、春先からの世界的な新型コロナウイルス禍の蔓延により、人類の殆どがかつて経験したことがないような試練と向き合っています。第2次世界大戦以来の苦境と言われるのですから正にその通りです。ただ良いこともままあります。地球温暖化のスピードは相当スローダウンしているようです。ステイホームの生活の中で人々は「哲学者」となり、アフターコロナの生き方について、あれこれ考えたはずです。
これから10年・20年、あるいは50年後、2020年という年は人類にとっても地球にとっても「ラッキーイヤー」だったと言えるようになると良いですね。
川西裕康
2020.08.05 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
今年も暑い夏がやってきました。
会社も種・野菜苗の生産販売の最盛期です。
猛暑期と最繁忙期が重なるこの季節は心配の「種」が尽きません。
おまけに新型コロナウイルス第2波が予想より早く到来、感染防止と熱中症対策の間で例年以上にストレスが貯まる毎日です。
少し話題が現実からそれますが、この新型コロナウイルスによるパンデミックは地球環境問題にどのような影響を与えるのか今のところ見通せません。最悪のシナリオは感染症問題が今後も次々起こり、地球環境問題は2の次、国家も企業も理念の上でも財政的にも関心が薄れ、予算を割く余裕もなくなることです。それとも更なる過酷なパンデミック自体によって地球環境問題自体が消滅・・・これは今を生きる我々にとって最悪のシナリオです。
1957年生まれの私にとって、1960年代の環境問題は公害問題でした。
「水俣病」「四日市喘息」「イタイイタイ病」、毎日ニュースで流されるベトナム戦争の映像と水俣病の映像が焼き付いています。ドブ水のような身近な河川の存在はリアルな問題でした。また枯葉作戦に象徴されるベトナム戦争そのものも地球環境問題でした。
1972年ローマクラブが「成長の限界」を発表し、化石燃料の枯渇を警告しました。
翌1973年第4次中東戦争が勃発し、トイレットペーパー騒動が起きました。このまま石油を使い続ければ20世紀中に石油は枯渇すると言われました。後から知ったことですがこの1972年国連による初めての地球環境会議が開かれ、ストックホルム宣言が採択されました。
「ONLY ONE EARTH」(かけがえのない地球)が標語となりました。
当時左巻きだった私にとって車社会の伸展は敵(人類の未来にとって悪いこと)でした。車に憧れる同世代は無責任ではないかと自暴自棄な気分になったときもあります。一方原子力は化石燃料に代わる夢のテクノロジーと信じていました。70年代から80年代の環境問題は化石燃料の枯渇、及び地球資源の有限と人口爆発問題でした。
ところが1990年代になると、新たな油田も次々発掘され、化石燃料の寿命も21世紀後半まで持ちそうだという話になりました。1990年代の主な地球環境問題は「オゾン層破壊問題」となりました。そのような時代に国連主催でリオデジャネイロで開かれた地球サミットでの標語「SUSTAINABLE DEVELOPMENT](持続可能は発展)には心を動かされました。
この理念が本当に実現可能であれば正に人類社会は持続可能と楽天的に考えました。ゼロ・エミッション社会という言葉も提唱されました。しかしその後21世紀を迎えると地球環境問題は二酸化炭素(CO2)排出量増加による地球温暖化問題に収斂されつつあります。オゾン層破壊の問題はどこに行ったのだろうと思う程です。そして2015年の国連会議後提唱されている「SDGs」の標語、あるいはレインボーのようなデザインは、1992年のリオでの熱狂の焼き回しではないかと思ってしまいます。そして今年2020年の新型コロナウイルスによるパンデミック。地球温暖化と未知の感染症によるパンデミックは連動しながら、今後次々未知の現象が人類社会に起きるのではないかと恐れられています。
未来について悲観的な見方となりましたが、その中でも食糧生産を担う農業の役割はますます重要になると自負しています。人口爆発は90億人前後で収斂するというのが私の見方ですが、安定的な食糧生産は唯一「持続可能」な人類資産であると考えます。農業の未来に少しでも役立てばと思っています。
川西裕康
2020.07.10 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
今年も夏がやってきた。とは言うものも1年前に想像していた夏とは全く違う。「東京オリンピック2020」で日本中お祭り騒ぎの予定でしたが、もはや忘却の彼方、過去の記憶のようです。来年開催についても大半の日本人があきらめムード。新型コロナウイルス第2波がこの夏に再来するかどうかが最大の関心事、国はほぼ鎖国状態で関東地方中心にまだ移動もままならない実状です。おまけにかつてないほどの梅雨前線の停滞で来る日も来る日も雨、九州地方を始めとして多くの死者を出すほどの歴史的大災害になりつつあります。穀倉地帯は最も重要な生育期ですから、直接的な被害と日照り不足で作況もかなり下振れする可能性が出てきたと思います。新型コロナウイルス禍と梅雨豪雨のダブルパンチです。
それでも会社にとってはこの7月~8月は最繁忙期となります。露地野菜の種蒔き・育苗時期です。トマトに代表される施設野菜もこの時期が定植時期ですが、多くの生産者は苗を購入します。弊社も自社苗生産に力を入れているのですが、この曇天続き高温多湿条件下でお客さまに納得していただける苗を供給するのは大変です。枯れそうだからと水をやれば、徒長苗となりますし、予期に反して急激に晴れるのも大変危険です。植物が変化に対応できず、一気にしおれてしまうこともあるからです。またこの高温時期にコロナ予防でマスクをしながらハウス内で仕事をする職員も大変な思いをしています。暑くなればコロナよりも熱中症のほうが遥かに危険だろうと思います。
何れにせよ太平洋側の園芸農家にとって、7~8月は冬の収穫に向けての最重要なスタート時期となります。弊社もその分野でお役に立つことが根幹の会社ですので、とにかくこの時期は槍が降ろうとも前に進むしかありません。正月を中心とする冬場に野菜や果物がスーパーから消えたなどという事は許されません。国民そして消費者は新型コロナ禍以上のパニックです。今回の新型コロナウイルス禍ではっきりしたことは、食料は生命の根幹、新鮮でフレッシュな野菜や果物を食べられることがいかに幸せかということを実感したことでしょう。まもなく終わるだろう長い梅雨がすぎると夏の太陽と連日30度以上の極暑が待っています。それは弊社が頑張る時でもあります。
川西裕康
2020.06.05 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
本年3月頃は、6月になれば新型コロナウイルス禍も収束するだろうと楽観的な期待を抱いていましたが、未だ世界への蔓延は拡大途中であります。何よりも我々一人一人が程度の差こそあれ、コロナウイルスの恐怖心を脳の深い部分にインプットされたような気がします。
弊社が関わる農業分野も悲喜交々です。一口に農業と言っても大きな括りとして「穀物」・「園芸」・「畜産」があります。「穀物」分野は、食の源、国民のカロリー源ですので被害は比較的軽微だと思われます。「畜産」は和牛や給食向け牛乳生産等で大きな被害がありました。さて弊社が主に関わる「園芸」分野はどうでしょう? ジャンルによって被害に大きな差がありました。
「花卉」園芸は、冠婚葬祭と大きく関わりがあり、葬式もまともに出来ない、結婚式他祝宴もほとんど中止となる中で、需要が激減しました。また都会では花屋さん自体も長期の休業を強いられる事態となり、売りたくとも売れない現実が続きました。また豊橋を中心に東三河で盛んな「つまもの」園芸も甚大な被害を受けています。「つまもの」は和食を中心とする外食産業においては必需品ですが、家庭消費において買うという人は少ないと言わざるをえません。
どちらも高度施設園芸の産物であり、初期資本とランニングコストが高い分野だけに行政支援は必須です。「野菜」園芸については、影響はあるものの上記2分野と比べれば比較被害は少ないと言えるでしょう。ただ学校牛乳と同様に特定契約の野菜生産者においては大きな損害があったと聞いています。またどの分野においても外国人研修生の「帰国」も「新規受入」もままならぬ状況で、働き手不足はこれからいよいよ顕著になる気配です。
少しだけ明るい話題としては、世界中がほぼ「鎖国」状態の中、国内農業の重要性と国産生産物の価値を多くの人が感じていただいていることです。ステイホームがスローガンとして広報される中、多くの国民のせめての楽しみと気分転換は馴染みのスーパー等で新鮮野菜や魚・お肉を購入することだったように見受けられます。まだ少数ではありますが、新鮮で可憐な国産の花を買って、家庭にうるおいをと思っている人も増えたと聞きます。また家庭菜園やガーデニングは、このコロナ禍故にか?静かなブームとなっているように感じます。
生協さん等、あてが外れた業務用農産物に対して生産者を守ろうとの立場で各地で買い支えてくれたという話も聞きます。
弊社の業務も夏が本番です。特に秋冬野菜の生産は、夏場の種まき・育苗から始まります。
多くの生産者が今年の冬はどうなるのか全く予測がつかない中で、とにかく生産をスタートさせます。弊社も良い年になることを願い、多くの生産者に寄り添って夏の繁忙期にお役に立ちたいと思っています。
川西裕康
2020.05.15 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
5月は弊社にとっては新年度(4月末決算)です。毎年5月2日は、豊橋駅に併設するホテルで経営計画発表会、新人歓迎会、懇親会がお決まりでした。延期実施も試みましたが、結局中止となり、第54期経営計画書を全社員に配布するのみとなりました。そして政府の緊急事態宣言に従い8割近く人と人との接触を減らすべく、全社での交代勤務、出張の禁止、集合朝礼の廃止、テレワーク、ZOOMでのWEB会議等を実施しています。昭和感覚の中小企業の親父社長(自分のことですが)から見ると、自分の出番がなくてウロウロです。朝礼や全体会合でアナログで話をするのが自分の仕事と勘違いしていた者にとっては、結局これは自己満足のためだったのかと思い知らされています。出張の多くも役職だから自分が行かないと成り立たないと思っていたのは本人だけかもしれません。実際ネット会議をやってみると案外使い勝手がよく、これが普通になれば出張の70%は必要が無くなりそうです。 JR東海のライバルはJR東日本ではなく、ZOOMが天敵になるのではないでしょうか。 |
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昨年の今頃は政府が提唱する「働き方改革」に適合すべく、社内の労務管理体制の変更に大慌てでしたが、今回の歴史的なパンデミックは真の「働き方改革」を迫っています。年を重ねながら積み上げてきた各々の人生哲学もモデルチェンジです。
弊社は農業の発展に役立つ会社を目指しています。しかし農家が大変です。特に花卉園芸、つまもの(大葉等)園芸は厳しい状況です。今年の秋冬作をどうすればよいか、先行き見えない中、明るい展望が開けません。単に新型コロナウイルス禍が今後どんな展開になるかが見えないだけでなく、人々の心の変化、また生活様式の変容によって需給に大きな変化が起こりそうだからです。国境が閉鎖される中、食糧自給の重要性は益々高まりそうですが、それだけでなくこういう時だからこそ生活に彩りを、家での食事にもつまものを添え、家庭で花や鉢物を飾ることの価値観が高まれば良いなと思うこの頃です。
川西裕康
2020.04.13 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
4月1日は恒例の入社式、おかげさまで今年も14名(女9:男5)の素晴らしい新卒新人を迎えることができました。新型コロナウイルス禍拡大の中、人数を制限し、多くの社員もスマホやPCで参加することができました。今年は多くの大学で卒業式が中止になり、近年恒例の「卒業旅行」もキャンセルせざるを得なかった学生が多いようです。なんとしても入社式は実施したいと思っていたので安堵しています。しかし更に気の毒なのは現在リクルート中(2021年度新卒)の学生たちです。会社説明会も合同説明会も中止・延期が相次ぎ右往左往している上に、この未曾有の「恐慌」です。採用予定を大幅に減らす企業が増えることは目に見えています。数年後に「貴重な経験ができ、良い成長の機会だった」と振り返ることができる学生の多からんことを祈るのみです。
今回の新型コロナウイルスによるパンデミックは、メルケル首相の言う通り「第2次世界大戦以来の大惨事」になることはほぼ確実、経済的にも1929年の世界大恐慌以来の「恐慌」となるでしょう。殆どの人類が生まれる前の出来事です。大嵐の後には素晴らしいお日様が出ると信じたいですし、実際人類は近いうちに克服すると信じます。ただ一つ言えるのは新型コロナウイルスが去った後の世界は、それ以前の世界に戻るわけではないだろうということです。幸せとはなにか、豊かさとはなにか、強さとはなにか、多くの人々の思考が変わり、結果として「欲しい物」(商品トレンド)が大きく変化するでしょう。中高年もテレワーク、TV会議が使えるようになり、5GやAIはさらに加速するでしょう。また子供の学習法も大きく変化するでしょう。東京の会議に行かなくても、学校に行かなくても、今まで通り、いや今まで以上に効率的な時間の使い方があると多くの人が実感するでしょう。平常時の国会予算に近い財政出動を各国が実施すれば、急激な信用膨張によるハイパーインフレ、あるいはスタグフレーションが起こる可能性が更に高くなります。貨幣のあり方あるいは貨幣そのものの形が変わる可能性があります。
ポストコロナウイルスのことも想像しながら、明日の経済、そして経営を見直す必要があります。おそらく経営も世代交代の大きな契機になるのではないかと思っています。
川西裕康
2020.03.09 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
春3月は1年で最も華やかな時、特に今年は夏に東京オリンピックを控え、例年以上にワクワクする年になるはずでしたが、新型コロナウイルス禍でまさに「沈黙の春」となりました。桜は咲くでしょうが、全国の桜まつりは軒並み中止に追い込まれ、花見宴会もできないか、肩身の狭い思いをしそうです。
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日本の桜を楽しみにしていた外国人観光客も年々増加していることを想うと、国民を代表して?お詫びしたいような気持ちになります。2000年以降の重大事件としても、2008年のリーマンショック、2011年の東北大震災に次ぐ大事件です。特に今回はほぼすべての国民に経済的、心理的影響が及んでいるという意味で深刻です。
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農家の皆さんも本当に大変です。当初外出外食を控え内食が増える、また生活必需品の買い占め等の影響もあり、青果物市況にはプラスに働くかも?とのんきに考えていましたが、もし万が一農家自身にコロナウイルスの陽性反応が出たら、当該農家の出荷物、場合によっては共撰農産物も出荷停止になる可能性があります。3月の日差しを浴びてこれから出荷の最盛期となるトマトやきゅうり、イチゴ農家にとって、出荷停止は最悪、悪魔の宣告です。ある意味どの職種よりも自身の感染について敏感にならざるを得ない職業です。そんなことが日本中一件も発生しないことを祈るばかりです。農家の皆様の精神的負担に心からお見舞い申し上げます。
それにしても3月は国民総自粛状態が続くでしょう。4~5月にかけて徐々に収束に向かうことを祈るばかりです。
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そして夏には予定通りオリンピックが開催され、秋にはインバウンド景気が更に盛り上がることを祈って已みません。豊橋という地方都市にいても、中国を始めとしてアジア系の外国人観光客がとても増えて賑やかさが増していました。ところが今は閑散、中国語も聞こえません。なんだか今は外国人観光客の存在が恋しくたまりません。 |
「沈黙の春」より「賑やか春」が断然良いですね。
川西裕康
2020.02.17 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
2020年もはや2月、昨年秋から続く青果安で農家は苦しんでいる。
キャベツもブロッコリー、施設トマトの単価も昨年以上に低空飛行を続けています。
お米も毎年過剰生産基調。
一方で中長期的視点に経てば、世界人口の爆発(100億人以上)が食料争奪戦につながるという人がいます。ここ数年現実に起きていることを考えると、農家は「将来の食糧危機」の大義の前に戦わずして「討ち死に」してしまうのではないかとすら思えてきます。
本当に食糧危機は起こるのだろうか?
地球温暖化や劇的な環境破壊、水不足等によって世界の大きな穀倉地が壊滅的被害を受けることはあるかもしれない。地球温暖化はむしろ食糧生産にプラスという人もいるが、環境の激変や安定的な水の供給を考慮するとそのプラスマイナスは未知数だと思います。
むしろもう少し具体的に予測できるのは世界の人口動態です。
国連は2019年段階で75億人を超え、いずれ100億を超えると予測していますが、一方で「ヨルゲンサンダース 2052より」(日経BP)によれば、世界の総人口は2042年81億人でピークとなり、その後緩やかに減少、その時までに食糧危機は起きないと予測しています。
2020年現在75億を超えているので、81億では収まらないだろうが、80億台でピークアウトするというのが私の勝手な予測です。人口が爆発しないのは「都市化」が最大の原因、大都市に住む人が増えるほど出生率は劇的に下がる。
韓国は間もなく日本と同様急激な人口減に苦しむようになる。
中国も2028年には14億4千万でピークを迎え、その後急激に老齢化社会となる。
2027年にはインドが中国の人口を抜くだろうが、その後都市化の進展により、インドも数年遅れで中国の後を追うと予測されている。
アフリカ、南米も同様で急激な都市化と高学歴化が人口爆発を劇的にストップさせるのではないかと言われています。日本では急激な老齢化と人口減が現在進行中です。
そうした中での園芸農業のあり方は我々に託された大きな課題です。
「健康・美味しい(品質)・安全・安心・希少価値」等がキーワードとなるでしょう。
川西 裕康