ブログ「社長のつぶやき」

2018.09.05 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

改めて3点確保

 セピア色の写真を整理していたら、学生時代の登山を思い出した。山登りで一番楽しいのは、夏場の沢登り。なんといっても涼しいし、飽きない。尾根伝いの縦走も楽しかったが、時間を忘れるということはなかった。岩場に差し掛かった時の原則は一つ、3点確保(四肢のうち、一つだけを動かして前進する)で登ることが可能かどうかである。不可能と判断すれば、何時間かけても迂回する。
 迂回はブッシュとやぶ蚊、時々蛇に阻まれ、正直嫌いです。
岩登りに入る前には必ず想像力を働かせる。今自分は命の危険を冒そうとしている。もし滑落すれば仲間に迷惑がかかるし、死んでしまうかもしれない。死んだら親が悲しむ(当時は携帯TELもない一人暮らし、沢登りに行くこと自体家族に報告していない!)。目の前の危険をしっかり認識し、滑落すれば多くの人を困らせ、悲しませることになるということを具体的に想像できるように少しだけ瞑想する。そしていざ、登攀。難所にさしかかったときには尚更、3点確保の意識と、想像力をビジュアル化するよう心がける。沢を登り切ると大抵は眺望の良い尾根に出る。その時の爽快感は格別です。また水系の源流を制覇したというのはなんだか私にはとても自己満足が得られるものでした。
 3点確保の原則は経営をする上で最も大切な思想だと思っていますし、おかげさまでこの年になって、当時の思い出と今の私は繋がっていると強く感じるようになりました。しかしそれは少々保守的で、臆病すぎるかもしれません。スピードが求められる現在、上記の話には時間軸がありません。また2点確保も覚悟しないと、そもそも登れない沢もいっぱいあります。どちらかというと経営上はかつてよりも2点確保に挑んでいるような気もします。いずれにしても人工登攀や、ハングオーバーを一点確保で登るような芸当は自分には馴染まない。
 が、どうしても登りたいときは2点確保も厭わない!そのような考えで進むことができたらと思っています。
川西裕康

2018.08.10 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

弊社の苗事業について

 私が業界に入った頃(昭和50年代)、苗作りは農家にとって最重要な仕事、苗半作、または七分とまで言われた。良い苗を作ることが、篤農家の定義であり、良い収穫を得るための必須条件だった。それが平成に入るころから徐々に様子が変わってきた。多くの施設トマト農家は8月に定植する。栽培面積は増え、連作による土壌病害も深刻になり始め、接木という作業も必要になってきた。大規模栽培を指向する農家から徐々に買い苗に頼るようになり、現在も夏場の苗生産は全国的に供給が需要に追い付かない状態が続いている。私なりにその要因について考えてみた。

①真夏の接木の難しさ:春ならば、気候もよく、適切に保温・保湿させることで接木は比較的容易であるが、真夏40度も超えるような環境下で安定して接木を行うことは非常に難しく、一定の設備投資が必要となる。
②大規模志向と分業化:規模拡大を目指す農家は、生産に専念したい。育苗のための施設を別途用意するよりも、生産面積を増やしたい。
③夏休み少しは休みたい:苗作りは最も神経を使う農作業、苗を自作している間は、休めない。収穫中は休みが取れないほど忙しいので、結局1年中休めないことになる。家族サービスや旅行の計画も立てることができない。業者に委託したほうが精神的に楽。
④苗種類があまりに複雑:品種の選定、台木の選定、苗の種類(ポット苗・プラグ苗・グローブロック苗等)の複雑さ、1本植え、2本植え、はたまた1本植えの2本ピンチ苗等、選択によって無限大と言ってよいほどのバリエーションがあり、過去の経験値が追い付かない。
⑤タネ屋としては言いにくいが、タネ代もばかにならない:高価な種を定量で買うよりも必要本数の苗をピンポイントで買った方が結果としてお値打ち感がある。

結果として、日本農業が少数精鋭化すればするほど、「買い苗需要」は高まる。採算性は後から考えるとして、会社として静岡県磐田市に新たな苗生産施設を建設することを決めたのは、以上の理由です。

現在磐田市内で建設中「苗生産施設」
磐田ナーセリー
ドローンによる8/6撮影(北側より)

トヨタネ株式会社
川西 裕康

2018.07.13 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

(株)デンソーそして、(株)大仙との提携について

 デンソーさんとの出会いは、東北大震災の起きた激動の2011年、当時弊社は施設園芸の先進地オランダ視察を毎年実施していた。その視察を通じて多くの社員がハウス環境を適切に管理すれば、単位面積当たりの収量を飛躍的に向上させることが可能であるということを理解していた。また地域としても多くの若手生産者が「勘」による管理から、数値に基づいた管理の重要性に注目し始めた頃でした。
 一方デンソーさんは、車関連事業以外の新規事業を模索していた。デンソーの理念「地球と生命を守り、次世代に明るい未来を届けたい」から「農業支援事業」がその理念に沿うものの一つとして採用されたと聞いている。弊社の仕入れ先からの情報経由でデンソー担当者が弊社に見えた折、農業用ハウスの統合環境制御に関心があると申し出たところ、車の環境制御、つまり車内空間の最適環境を設計するのはデンソーのコア技術なので、農業用ハウスにも応用できるかもしれないと申し出ていただき、開発が始まった。当時農業用の高度な環境制御装置はオランダ製がほぼ独占していた。開発研究が始まってからの(株)デンソーさんの圧倒的なスピード感と、開発プロセスや商品品質へのこだわりに何度も度肝を抜かされた。それにしても、やりたいとは思いながらも開発部門も予算もないに等しい弊社の元に(株)デンソーさんが来てくれたのは、はっきり言ってこの上ない幸運でした。デンソーにとっては弊社の顧客やJAさんを通して施設園芸業界のニーズを把握することができた。2015年ついに国産初と言ってもよい高度な統合環境制御装置「プロファーム」を販売開始した。
 しかし発売が進むにつれ、このプロファームの能力を最大限生かすためのハウスそのものの提案も必要ということに行きついた。(株)大仙さんは弊社と同じ豊橋を本拠地とする日本最大のハウスメーカーです。大仙も、ハウスという「箱」売りだけでなく、内部装置やノウハウを加えた付加価値の高い商品を開発したいという機運が内部にあった。そこで3社の提携が始まり、プロファームコントローラーの能力を最大限生かしつつ、イニシャルコストも低減させるというコンセプトの元、「プロファームT-Cube」の開発が始まりました。 
 そして現在は2019年5月の販売を目指して3社で新しいチームをスタートさせたところです。

代表取締役社長 川西裕康

2018.06.09 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

日本の施設園芸の未来

 日本の施設園芸の規模は1999年5.5万haだったのが、2017年は4.3万haと20年間で約1万ha減少しました。近年は減少率も加速度がついているという。人口規模が1/2以下の韓国と比べても規模及び内部設備において後れを取っているのではとの焦燥感もあります。そうした現状を鑑み、今後はオランダに匹敵する高生産性を目指しながら、極力コストダウンの計られた1ha規模、投資額2億円程度のハウスが中心となることが望まれるようです(行政並びに業界団体等との会合の中での議論における私なりのまとめ)。そうした方向性に向け大規模ハウスが可能となる農地法の改正や政策議論が活発になりそうです。しかし国内の施設園芸メーカーにおいて、1ha規模を前提とした商品開発が活発とは必ずしも言えない状況にあります。オランダはすでに10ha以上の温室を前提とした技術開発に集約されていると聞きます。現状でも数ha規模であれば、相当な輸送料がかかろうとも、オランダ施設園芸をそのまま持ち込んだ方が安いし効率的という声もあります。
 弊社が基盤とする東三河地方、中でも豊橋市はここ数年概ね20~40a規模の新設ハウスがたち始めています。大規模農家はこうした数10a規模のハウスを複数経営し、結果として1ha規模の施設経営を指向しているように見えます。雇用労力の確保は共通した深刻な課題ですが、複数ハウスの方が、労力の分散や様々なリスクの回避には適しているように感じます。また投資規模も2億というよりも取りあえずは1億が心理的な壁、1億投資が順調に償却できたらもう1億という方が経営の安定性は高いように思います。いずれにしてもどちらが将来の姿として適しているということではなく、近未来の日本の施設園芸の姿を展望しつつ、これからも専業プロとして頑張る生産者に寄り添える企業でありたいと強く念願しています。

2018.05.07 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

新年度、50周年、改元・・・。

 弊社の決算月は4月、5月からは新年度です。ゴールデンウイークの真っ只中なのが、大きな欠点です。例年5月2日に全社員が集合する経営計画発表会を行います。この日がよいのは、ホテルに大きな行事が入らない特異日だからですが、まとまった休日を取りたい社員には迷惑かもしれません。来年は更に難題です。2019年5月1日は「改元の日」、この日が祝日(休日の可能性もあり)になるとなんと9連休、土曜もカウントすれば10連休です。ただこの時期に10連休をとれる国民は何%いるのだろうと皮肉を言いたくもなります。少なくとも小売業やサービス業、観光業界は大忙しです。弊社においても、春野菜需要の最盛期、農家においても収穫や、収穫前準備で大忙しの頃です。結論として来年の5月2日も発表会を実施すると決定しました。
180502_経営発表会川西社長Speech経営計画発表会20180502
 5月から新年度、会社にとってはお正月のようなものです。しかも今年は創立50周年度となります。会社にとっては大きな節目、どう考えるかによって違ってきます。会社の寿命100年と考えれば、折り返しになりますが、200年以上続けたいと思えば、50年はまだまだ青春期です。当然私としては後者の気概で臨みたいと思っています。しかも50周年が終了すると「改元」です。51年目からは新しい年号でスタートできます。これって少しラッキーな気持ちがします。ちなみに私は1957年(昭和32年)生まれ、昭和を約31年経験し、来年元気なら平成も31年生きたうえで、新しい年号を楽しめる。これもかなりラッキーだと自分に言い聞かせています。子供の頃はまだ明治生まれの人が多く見えました。「明治の気骨」という言葉をよく聞きましたが、いつか「昭和の気骨」と言われるほど元気で長生きできれば、こんなありがたいことはないでしょうね。後半は独り言でした。

[参考資料] 5月2日経営計画発表会川西社長スピーチより
第51期経営計画の発表ができることを感謝します。
本年はトヨタネ株式会社として3年目、そして創立50周年を迎えます(会社設立登記日1968年10月31日)。創業時の変則決算の影響で第52期が50周年となります。半世紀は長い年月です。お客様、仕入れ先、関係先そして何よりも会社のために尽くしてくれた何百人にも及ぶ歴代社員のお蔭です。そして50年の年月を支えたのは創業の理念です。

●創業時の綱領(ミッションステートメント)
1.私たちは種苗農業資材の普及開発をもって社会に奉仕いたします。
2.私たちは相互信頼と常に明るい挨拶によって向上いたします。
3.必ず事業に成功し常に業界のリーダーたらん。

会社にとって50周年は少年期なのか、青春期なのか、壮年期なのか、それとも黄昏時なのでしょうか。会社寿命が100年ならば、壮年期ですが、200年超企業を目指すならまだ青春です。私は会社が青春期を迎える時だと信じています。これからが第2の創業、変化・変革の時だと信じています。

社長方針
全員の力で50周年を変化(CHANGE)の時へ!
弊社は長らく東海地域の販売業と自らを定義してきましたが、この数年大きく会社の在り方が変化しています。常に変化し、新しい地平を開かないと、人財は育ちません。育たないというよりも、変化しようとしなければ、組織も個人もゆでガエルです。人は憶病で変化を好みません。
従って変化は、常にそれを意識し続けないと止まってしまいます。50周年はCHANGE!そして青春のワクワクを楽しみましょう。「人はタフでないと生きていけない、しかし優しくなければ、生きる資格がない」という名セリフがありますが、人は変化しようとしなければ楽しくないし、ワクワクしないと思います。

CHANGE!
①売上3桁(億)企業へ(100億企業に耐えられる組織文化の構築)
②プロファーム及びオリジナル商品・サービスの広域展開
③大型生産設備投資(磐田第2ナーセリー)
④関連会社設立・提携・M&Aの新展開(マルカ商会・新会社設立)
⑤営業所展開の再構築(新安城 静岡再編 新営業所)

代表取締役社長 川西 裕康

2018.04.10 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

新卒採用について

 弊社には年3回の「新年」があります。1つは文字通り新年1月1日です(会社始めは5日から)。
2つめは新年度、弊社は4月30日が決算ですので、5月1日が新年度となります。社長としては、気合の入る日ですが、会社全体、社員からはほとんど気合が感じられません。5月1日はゴールデンウイークのど真ん中、メイデー、多くの社員にとっては休みにして欲しい位の日です。実際来年2019年5月1日は新天皇即位日、祝日扱いになるようです。そしてもう一つの「新年」は、新卒採用者入社日4月1日です。新入社員にとって記念日であるのはもちろんですが、私にとっては「人を雇用する」という責任を改めて痛感する日であり、昨年入社した社員にとっては新入社員の「資格」が終わる日、後輩ができる日でもあります。弊社の文化は新卒採用によって築かれていると言っても過言でありません。起業は50年前ですが、すでに3期目から大学新卒採用が始まりました。名前も売れていない小さな会社でしたが、「農業分野での貢献」を信じて弊社を希望してくれた新卒者に感謝です。会社の経営計画書「要員に関する方針」1.採用の第一項に、「当社の人財獲得は、新卒採用を基本とする」と明確に書かれています。これは単に新卒採用ありきというだけでなく、毎年新卒採用人財が獲得できる会社を継続せよ、また新卒人財が是非入りたいと思ってくれる会社であり続けろという会社経営に対する叱咤激励の方針でもあります。
 実際今年も大卒高卒全員で16名(1名は農場研修生)が弊社の門をたたいてくれました。
入社式2018
(2018入社式4/2)
本年は会社創立50周年を迎えます。激しい社会変化の中で大きなうねり、過度期を迎えていると実感しています。されど会社は成長してほしい。今年61歳を迎える自分にとって、生きて100周年を迎えることは絶望的ですが、本日入社した16名のうち、ひょっとしたら50年後100周年の折にも在籍している人がいるかもと思うと、とてもワクワクした気持ちになりました。
 新卒採用は、我が社のアイデンティティの底辺を形成する「文化」です。

代表取締役社長 川西裕康

2018.03.06 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

50周年を迎えるにあたり

 間もなく52期を迎えますが、創業時の決算変更等の関係で本年が50周年となります。
50th
いろいろ考えていると筆が進みません。
過去の資料を読み返していると、なんと自分も社長就任10周年ではないですか! 
10年前は、今より10歳若かった。
当たり前ではありますが、筆が進まないことを口実に、社長就任時全社員向け初めての発言内容が残っていたので、恥ずかしながら当時の原稿を再録させていただきます。
師事する(株)武蔵野小山社長とケネディー大統領スピーチを足して3で割ったような内容です。

2008年5月17日経営計画発表会より
 42期を迎えるにあたり、代表取締役社長の大役を仰せつかりました。
大変若輩者で心もとないですが、私の任務は渡された「たすき」を次の走者に託すまで走り続けることです。
この経営計画書に書かれた数値目標・方針の最終責任は、それを決定した社長にあります。
しかし社長一人では何もできません。
社員全員、そして協力会社の皆様が価値観を共有しながら、活発に議論し、間違ったらすぐ改め、行動を起こさなければ何も始まりません。
 当社には40年間の歴史と伝統があります。
歴代社長の適切な判断・決定と常にお客様のために尽くしてきた多くの先輩社員が今日の当社の基盤を作っています。しかし時代の変化は我が社の都合を待ってくれません。
昨日の栄光が明日も正しいかどうかも疑わしい今日です。
時代は猛スピードで変化しています。こうした時代だからこそ、変えてはいけないことと、変えねばならないことを峻別し、変えねばならないことはいち早く決定し、行動に移すことが重要です。時としてそれは当社に奥深く根付く文化であるかもしれません。
黙っていては変化に追いつくことはできませんし、人は変化(改革)を好まないものです。
変化することは不安ですし、時として大きな痛みや離反を伴います。
変化できるのは志の高い人のみです。目指すのは、変化に対応できる人財を育て、組織の壁を乗り越えて、全員が顧客のために新しい価値を創造しようと行動に移す集団です。
会社が皆さんのために何をしてくれるかに思いを巡らすのではなく、一人一人が顧客のために何ができるのか、を常に問い続けていただきたいと思います。
 どうか今期もよりいっそうの皆様のご協力をお願いいたします。



代表取締役 川西裕康

2018.02.07 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

社史の編纂

 弊社はお蔭様で平成30年10月創立50周年を迎えます。
50周年と言えば、半世紀です。
誰しも認める節目であることは間違いありません。
創業の4名もすでに全員他界、創業時からの社員も一人もいなくなります(H30.4月現在)。
そうした中、尊敬する先輩経営者から社史の編纂を薦められました。
個人的には自己満足のように感じ、気が進まなかったのですが、この先誰も創業時の記憶を語れる人がいなくなる。
また新卒採用研修にも、会社の歴史を記録することはとても重要と考え改め、作成することにしました。
50年前私は小学5年生でした。
父親にドライブを兼ねてよく本社地に連れてきてもらいました。
一面の白菜畑、これから何が起きるのか聞いたことはありませんでしたが、夫婦の会話や、店の様子から新しいことが始まろうとしていることだけは感じていました。
当社カタログ1972年春
1972年当社カタログ裏表紙より
 今後更に50年後会社が存続し、その時の経営者や社員が50年史を読み返してくれたなら、何よりもありがたいことです。
「創業の理念」はすべての企業にとって、何よりも重要なアイデンティティ(自己存在証明)です。
創業時からすべてのスタッフが変わったにもかかわらず、同じ血が会社に流れているとするならば、そのこと自体が企業にとって解明すべき永遠の謎です。
変えるべきもの、変えてはならないものの価値基準が少しでも明らかになれば素晴らしい羅針盤となります。
創業から50年、どうして企業活動を継続することができたのか、お客様や、仕入れ先、地域社会、そして必死に頑張った経営者や社員のお蔭に他なりません。
今会社があり、これからも発展しようとしている時に、過去50年の恩、そして幸運を身に染みて感じるということは、とてもとても重要なことと感じています。

屋上より撮影
2018年2月7日現在(本社屋上より撮影)

川西 裕康

2018.01.05 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

年頭の所信

明けましておめでとうございます。
平成30年、戌年、平成という元号が1年続く最後の年になります。
どんな年になるでしょうか、素晴らしい1年にしたいですね。

昨年は会社にとって新たな飛躍の可能性と、深刻な課題を突き付けられたエポックメイキングな年でした。
新たな飛躍の可能性は、我社が広域に日本の施設園芸に役立つ会社になれるよう,様々なチャレンジをしたことです。

大規模化イコール先進的なオランダ技術の輸入ではないはずです。
良いところは取り入れながら、日本の風土、文化、伝統、そして革新に寄り添える技術、サービスがあるのではと思っています。

かつてなかった広い知識や技術、現実を体験できたことは大きな財産となるでしょう。
一方、日本は少子高齢化、人口減少によって、農業は先細りしています。 
しかし頑張ろうとしている農業者は、大規模、高生産性を目指して、大きな投資を決断し、いわば命がけで戦っています。

高品質の生鮮品を消費者に提供し、喜んでもらいたいと望み、一方で経営も安定させたいと日々悪戦苦闘している。

そうした農家に寄り添えるだけの力が会社にあるのかどうか、残念ながら不足していることが多すぎます。
そうした現実にも直面した1年でした。

今年は上記の課題に対してひるむことなく、一つずつ進化できる会社を目指します。

どうか今年も宜しくお願い申し上げます。

川西社長
川西 裕康

2017.12.06 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

日本の施設園芸のこれから

 来年の干支は戌(イヌ)。
小生は酉年、しかも5回目(つまり還暦)でしたが、あっという間の1年でした。
天皇の生前退位のご意向を受け、平成も平成31年4月30日で終わることが決まりました。
還暦を過ぎてみると、新元号(2019)、東京オリンピック(2020)、リニア新幹線開通(2023)頑張って生きるための当面の努力目標のように感じます。
またこれから子供を授かろうとする夫婦にとっては、産まれる子の誕生日が平成か、新元号か、これから関心が高まるでしょうね。
 
 それにしてもやはり気になるのは、日本農業の行方、中でも施設園芸のこれからです。
温室等の設置面積は平成11年度53,517haをピークとして減少傾向が止まらず、平成26年度は43,232haだそうです。

ナーセリーハウス

 日本の施設園芸再興のために国が掲げた施策の目玉は次世代省エネ型高度施設園芸モデル(4ha規模 全国10か所 実施済)の展開、そして概ね1ha規模の大型ハウスモデルの全国展開(50か所 企画中)です。
前提となる考え方は現在の状況を放置すると、農家の高齢化、弱体化で担い手がいなくなるという危機感です。
生産性の劇的な向上とコストダウンによって、新たな農業の担い手が必要だという論理です。
それには新規参入法人も想定されています。

 弊社も「生産性の向上」につながる商品の開発・普及はコアビジネスと認識しています。
ただ現場感覚で一つ違うのは、施設トマトや胡瓜、あるいは露地のキャベツ等の野菜栽培において、近い将来作り手がいなくなる心配よりも、過剰生産で暴落するのではないかという心配の方が大きいということです。

 稲作においても本格的作付自由化を迎える来年以降、生産者が危惧しているのは、暴落です。
入口の議論として農業の高齢化・担い手の減少、遊休農地の増加、食料自給率の低下等の課題を据えながら、出口の心配事が作りすぎによる「暴落」であるとするならば、その過程の議論に何らかの整合性のミスマッチ、あるいは特異点があるのではないかと思うのです。

 10年後、20年後の施設園芸の担い手はどうなっているのか、是非元気で確認したいものです。
弊社は、前向きに頑張ろうとしている農業の担い手を全力でサポートができる会社でありたいと強く念じています。

川西社長
 川西裕康